投稿日:2026.06.19 最終更新日:2026.06.19
「大腸がん予防=食事・運動」は本当に正しい?院長が考える”最優先の予防”とは
地震が怖いから、棚が倒れないようにつっかえ棒をした。
でも、そもそも家の耐震性がゼロなら、つっかえ棒だけでは間に合いません。
大腸がん予防も似たところがあります。食事や運動に気をつけることは正しい。ただ、すでに腸の中に大腸がんのもとができていたとしたら、どれだけ生活習慣を整えても、それを消すことはできないのです。
だからこそ、大腸カメラこそが何よりの予防策だと、当クリニックの理事長は考えています。
- 食事・運動に気をつけていれば、大腸がんは防げるの?
- 症状もなく、健診も問題ない。それでも受けたほうがいい理由は?
- 大腸カメラは「治療」なのか、「予防」なのか?
この記事では、上記の疑問に理事長が直接答えながら、食事・運動だけでは足りない医学的な理由と、大腸カメラが「予防」になるしくみを、内視鏡専門医の立場から分かりやすく解説します。
- 食事・運動だけでは対処できないケースがある、その医学的な理由
- 大腸カメラが何よりの予防策である理由
- 腺腫から大腸がんへ、5〜10年かけて進行する仕組み
- 「症状なし」「痛そうで怖い」など、受診を先延ばしにする声への回答
- 当クリニックの大腸カメラ検査の特徴
青木内科・眼科 青木 洋一郎
総合内科専門医/日本消化器病学会専門医/日本内視鏡学会専門医。日本人の2人に1人が「がんになる」と言われる時代に、早期発見の重要性を知ってもらいたいという思いから「痛くない内視鏡検査」を確立。
食事・運動だけでは、すでにある「がんのもと」は消せない

「大腸がん 予防」と検索すると、食生活を改善しましょう、運動しましょう、お酒を控えましょう。そういった記事が出てきます。
けして間違いではありません。ただ、それだけでは足りないのではないかと、青木内科・眼科の青木洋一郎理事長は考えています。詳しく見ていきましょう。
ポリープは「今すでにある」かもしれない
大腸がんの多くは、大腸の内壁にできるふくらみ「ポリープ」から始まります。
ポリープにはいくつかの種類があります。中でも「腺腫(せんしゅ)」と呼ばれる種類のポリープは、今はまだがんではありませんが、放置すると5〜10年かけてがんへと進行していく性質を持っています。
つまり、「良性だから放置して大丈夫」ではなく、「良性のうちに取り除くことがそのままがん予防になる」というのが、腺腫の特性です。
スタッフ:食事を見直したり、運動を習慣化したりすれば、大腸がんは防げるのでしょうか?
理事長:食事改善にも運動習慣にも、大腸がんリスクを下げる効果があります。それは間違いありません。
加工肉・赤身肉を控えて食物繊維を多く摂ること、よく体を動かすことで、これから新たに腺腫ができるリスクを下げられます。
こうした生活習慣の改善は、医学的には「一次予防」と言います。
でも、すでに腸の中にできた腺腫は、食事を変えても運動をしても消えることはありません。
スタッフ:では、すでに腺腫がある場合は、どうすればいいのでしょうか?
理事長:大腸カメラで発見し、その場で切除して治療します。
そして、この大腸カメラで、まずは腸の中を一度調べておくことが大切だと私は思っています。腺腫が見つかればその場で対処する。異常がなければ、安心して食事・運動による生活習慣の改善に進み、将来の大腸がんリスクを下げる。
この順番が大切だと考えています。
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欧米では、大腸内視鏡が「予防の文化」として定着している
欧米では、大腸がんの死亡率が日本より大きく下がっています。その背景には、日本ではまだあまり浸透していない「予防の考え方」がありました。
スタッフ:海外では大腸がん予防に対して、どのような取り組みをしているのでしょうか?
理事長:以前、ドイツ人の方と話す機会があったのですが、「予防(プリベンション)」として内視鏡検査を定期的に受けることが、あちらでは普通の感覚として定着していました。
ドイツでは55歳以上を対象に、無料で受けられる大腸内視鏡検査の制度があります。米国でも45歳からの定期的な検査がガイドラインで推奨されており、受診が文化として根付いています。
日本でも40歳以上に年1回の大腸がん検診が推奨されていますが、受診率は英国の42.6%に対して日本は11%と大きな差があります。
出典:大腸がんファクトシート 2024 – 国立がん研究センター
「食事に気をつけているから」「症状がないから」という理由で大腸がん検診を受診しない方が多いのです。
この受診率の差が、長期的な大腸がん死亡率の差にもつながっていると思っています。
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大腸カメラは「発見」と「切除」が同時にできる

大腸カメラは「検査」というイメージを持っている方も多いかもしれません。ここでは、なぜ予防になるのかを理事長に聞きました。
スタッフ:大腸カメラと聞くと、「検査をする」というイメージを持っている患者さんが多いですよね?
理事長:そうですね。ただ、私自身は「検査」という言葉があまりしっくりこないんです。
腺腫を発見し、その場で切除する。予防と治療が同時にできるのが大腸カメラだからです。
腺腫を切除した患者を20年以上追跡した米国の研究では、大腸がんによる死亡率が53%低下しています。腺腫を取り除くことで、この先約10年のがんを防げるという報告もあります。
出典:Zauber AG et al., N Engl J Med. 2012(NPS研究)
ただし、見つかったポリープすべてを切ればいいわけではありません。腺腫かどうかをその場で見極めて、必要なものだけ切除する。それが、体への負担を抑えながら、大腸がんを防ぐ方法だと思っています。
腺腫は今この瞬間も、無症状のまま育っている

「特にお腹も痛くないから検査に行かなくてもいいかな」「血便が出てないから大丈夫」。そう思っている方も多いかもしれません。
結論からお伝えすると、大腸がんは初期のうちはほとんど症状がありません。症状が出てから受診するのではなく、年齢を目安に定期的に調べることが大切です。
スタッフ:症状がないうちから検査を受ける必要があるのでしょうか?
理事長:あります。むしろ、症状が出てからでは遅いことが多いと考えています。
大腸がんは、症状が出るころにはすでに進行していることが多いのです。「異変を感じてから動く病気」ではなく、症状がなくても、年齢を目安に定期的に調べていく病気です。
症状が出る前に受けてこそ、はじめて「予防」になります。
スタッフ:「便潜血が陽性になったら受けよう」と思っている方も多いと思うのですが、それでは遅いのでしょうか?
理事長:遅い、というより、「便潜血が陽性になるまで待つ」というのは、予防とは少し違うと私は思っています。
便潜血は、腸の中で出血が起きているかどうかを調べるもの。陽性になるということは、ポリープがある程度育って、出血するようになっているサインです。
便潜血検査も大腸がん検診のひとつですが、陽性になるまで待つのではなく、「その年齢になったら受ける」というスタンスが、より積極的な予防になると思っています。
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無症状のまま、5〜10年かけてがん化する
腺腫が大腸がんに進行するまでには、おおよそ5〜10年かかります。
がんになってからも、症状が出るまでさらに時間がかかります。
特に右側の結腸にできたがんは、かなり進行しても症状が出にくく、気づいたときには手遅れになりやすいのです。
スタッフ:今の年代でも、すでに体内に腺腫ができている可能性はありますか?
理事長:十分あります。
40〜60代であれば、体内に腺腫が複数存在していても、まったく不思議ではありません。
自覚症状はなく、食事にも気をつけている。それでも、腸の中では静かに変化が進んでいることがあります。
「今から気をつければ大丈夫」と思っている方ほど、この5〜10年という時間を意識していただきたいと思います。
例えば、40代のときにできた腺腫が、気づかないまま10年かけてがんになる。血便が出たときには、すでに進行がんだった。自覚症状がなかったから、受診のきっかけもなかった。
そうならないためにも、今の状態を確認する大腸カメラを受けることを、私はお勧めしています。
生活習慣の改善と検査は、どちらか一方だけでなく、両方あわせて取り組んでほしいと考えています。
スタッフ:50代ではまだ大腸カメラを受けるのは早いでしょうか?
理事長:むしろ逆で、50代はぜひ受けておいてほしい年代です。
欧米では50歳から定期的な内視鏡検査が標準になっている国もあります。
「50代はまだ早い」という感覚は、日本だけのものかもしれません。
できれば40代のうちから受け始めることをお勧めしています。
大腸カメラを「まだいいか」と先延ばしにする理由、理事長に聞きました

ここまで読んで、「一度受けてみようかな」と感じた方もいるかもしれません。
一方で、こんな声が頭をよぎる方も多いのではないでしょうか。
「症状が出てないし、まだいいか……」「痛そうだし怖い」「まだ自分には早いかも」
受けたほうがいいとわかっていても、気づけば「受けなくていい理由」を探してしまう。そういう方も、少なくありません。
「症状なし=大丈夫」という思い込み
スタッフ:大腸がんの話にかぎったことではないんですが、ちょっと気になることがあっても、ネットで調べて「大丈夫そう」と自分を納得させてしまうことがあります
理事長:そうですよね。でも「大丈夫」って思っているときこそ、一度見直してみてほしいと思います。
「大腸がん 予防」で検索して食生活の記事を読んで、「気をつけてるから大丈夫」と思う。「便の色」で検索して、「この色は痔だから問題ない」と判断してしまう。そうやって先延ばしにしている間にも、腺腫は静かに育っていきます。
また、症状がある方よりも、何も感じていない方のほうが注意が必要なケースもあります。何も感じていなくても、腺腫がないとは言い切れません。自覚がないからこそ受けてほしいし、「自分は大丈夫」と思っている方ほど、大腸カメラを検討していただきたいと思っています。
「痛そう・怖い」という不安
「受けたほうがいいのはわかった。でも正直、怖い」。そう感じている方も多いかもしれません。当クリニックでも、同じ不安をお持ちの方からご相談をいただくことがあります。
スタッフ:私の友人も、大腸カメラの苦痛が怖くて、なかなか受ける気になれないと言っていました
理事長:「昔受けて苦しかった」という方も多いと思いますが、今の大腸カメラは以前とはかなり変わっています。
昔に比べて、鎮静剤を使って苦痛を抑えながら検査できる病院は増えてきています。当クリニックでも、患者様の負担を減らすため、鎮静剤を使った検査を行っています。
痛みへの不安があっても、負担を抑えながら受けられる選択肢が今はあります。「痛いのは怖い」という気持ちはよくわかります。だからこそ、負担を抑えながら受けられる方法があることを、知っていただければと思います。不安なままでも、まずは一度相談だけでも構いません。
当クリニックでは、発見した腺腫をその日に切除できる

当クリニックでは、大腸がんで苦しむ方を一人でも減らしたいという思いから、精度の高い大腸カメラ検査にこだわっています。
発見したその日に、日帰りで切除まで完了
スタッフ:大腸カメラでポリープが見つかった場合、すぐ切除してもらえるのですか?
理事長:はい、当クリニックでは発見した日に日帰りでポリープを切除することができます。
「入院が必要だろう」と思っている方も多いのですが、一度の検査で発見から治療まで完了できます。
改めて来院する必要がないので、体の負担も、時間の負担もぐっと減ります。
ポリープの状態によっては後日の対応が必要なケースもありますが、多くの場合は当日中に終わります。
ADR47%・見逃し防止AIで、小さな腺腫も見つける
スタッフ:発見率を上げるために、どのような工夫をされていますか?
理事長:当クリニックはADR(腺腫発見率)47%という実績で検査に臨んでいます。
ADRとは、大腸カメラ1件あたりに腫瘍性ポリープを発見できる割合のことです。米国の2024年推奨値が35%ですから、当クリニックはその基準を大きく上回っています。
ADRが1%上がるごとに、その後の大腸がん発生リスクが3%低減するという報告もあります。
出典:ASGE(米国消化器内視鏡学会)2024年ガイドライン
出典:Corley DA et al., N Engl J Med. 2014
また、当クリニックは2026年3月に富士フイルム製の最新内視鏡「ELUXEO 8000」を導入しました。「見逃し防止AI」が搭載されており、医師の目とAIが同時にポリープをチェックできます。

正直なところ、これまでも高機能な機器を使っていましたし、買い替えの必要はありませんでした。それでも、1%でも発見率が上がるなら、医師として投資を惜しみたくなかったんです。
しっかりと検査を受けて、その結果をきちんと聞いて帰ってほしい。それこそが医師としての務めだと思っています。そのため、麻酔後に生じる「逆行性健忘」を防ぐ麻酔拮抗薬も、当クリニックの負担で必要があれば使用しています。
※保険適応外のため当クリニック負担で提供しています。精神科薬・眠剤を常用されている方には投与できない場合があります。
痛みを減らす技術:
腸をできるだけ伸ばさずにカメラを進める「軸保持短縮法」と「水浸法」を組み合わせることで、腸への負担を軽減しています。腸を引っ張らずに検査できるため、痛みが出にくくなります。
鎮静剤へのこだわり:
2025年秋に内視鏡検査用として初めて保険適用になった新しい鎮静剤『アネレム』を使用。持続時間が短く、検査後30分〜1時間ほどで自然に目が覚めるため、目が覚めたあとに医師の説明をしっかり聞いて帰れます。
大腸カメラ(大腸内視鏡)検査
大腸カメラ、日帰り大腸ポリープ切除を受けるなら、内視鏡検査専門クリニック「青木内科・眼科」へ。静脈麻酔により痛みを感じにくいと好評です。検査当日に服用する腸管洗浄液は、ご自宅で飲むことが可能です。リラックスしてお越しください。
まとめ:「腸の状態を確認する」が、もうひとつの予防になる
「大腸がんを予防するために、食事に気をつけています。運動もしています。」
そこに、もうひとつだけ加えてほしいことがあります。
今の体の中を、一度確認すること。
検査を受けて、何もなければ安心できます。何かあれば、今のうちに取り除けます。
食事・運動と大腸カメラは、どちらか一方ではなく、両方を組み合わせることが大切です。
この記事で知ったことを、ぜひ誰かに話してみてください。「大腸カメラって、検査じゃなくて予防なんだって」というひと言が、受診を先延ばしにしていた家族や友人の背中を押すことになるかもしれません。
どんな些細なことでも構いませんので、ぜひお気軽にご相談ください。
この記事のポイント
- 食事・運動では今ある腺腫への対処はできない。まず確認して、取るべきものがあれば取る
- 大腸カメラこそが何よりの予防策
- 腺腫のがん化には5〜10年。無症状のうちに受けるのが予防
- 「症状なし」「健康に自信あり」は受診しない理由にならない
- 鎮静剤使用・ADR47%・日帰りポリープ切除対応
院長の想い
痛みの少ない検査技術・負担を軽減する麻酔・AI搭載の内視鏡。すべては"大腸がんで悲しむ人を一人でも減らしたい"という院長の想いから。当院での内視鏡検査をご希望の方は受診前にぜひご覧ください。

