ttl_bg
blog

胃カメラ、鼻と口どっちが楽?嘔吐反射・車通院などから専門医と考える選び方

胃カメラ、鼻と口どっちが楽?嘔吐反射・車通院などから専門医と考える選び方 | 胃がん

「胃カメラを受けないといけないのは分かっているけれど、鼻と口どっちにすればいいかわからないし、検査が怖いな……」

このように迷っているうちに、つい受診を先延ばしにしてしまう方は多いのではないでしょうか。

どちらの方法が自分に合うかは、嘔吐反射の強さや「意識があること自体の怖さ」、さらには「お車で来院されるかどうか」といった生活背景によっても異なります。そのため、ご自身だけで「自分にとっての正解」を完璧に決めきるのは、難しいかもしれません。

でも、どうぞご安心ください。 当クリニックでは、予約の時点で検査方法を無理に一つに決めていただく必要はありません。「決められないので相談したい」と伝えていただければ、あなたのご不安や当日のご都合などを丁寧にお伺いし、消化器内視鏡専門医が一緒に最適な方法を考えていきます。

まずは、少しでも安心して検査への一歩を踏み出せるよう、それぞれの特徴や選び方のポイントを分かりやすく整理しました。

この記事でわかること
  • 経鼻内視鏡と経口内視鏡、受けやすさを左右する通り道の違い
  • 鎮静剤(静脈麻酔)の使用後に必要な院内休息の時間
  • 嘔吐反射・鼻の状態・車通院で変わる方法の選び方
  • 経口・経鼻・鎮静剤の有無は予約時に決めておく
  • 受診前によくある4つの疑問
この記事を書いた人
アバター画像
青木内科・眼科 青木 洋一郎

総合内科専門医/日本消化器病学会専門医/日本内視鏡学会専門医。日本人の2人に1人が「がんになる」と言われる時代に、早期発見の重要性を知ってもらいたいという思いから「痛くない内視鏡検査」を確立。

経鼻と経口は何が違う?楽さを分けるのはスコープの通り道と鎮静剤の有無

どちらが楽に受けられるかは、主に「カメラ(スコープ)がのどのどこを通るか」と「鎮静剤を使うかどうか」で決まります。

項目 経鼻 経口
嘔吐反射 起きにくい 起きやすい
鎮静剤 使わない 選択可
生検・処置
検査前の待機 約10分(鼻腔麻酔) なし
検査後の帰り方 そのまま運転可 鎮静剤使用時は運転不可

経鼻内視鏡:嘔吐反射が少なく、会話しながら受けられる

経鼻内視鏡は、舌の付け根(舌根部)を通らずに鼻から直接のどへ入っていくため、「おえっ」とする嘔吐反射が起きにくいのが一番の特徴です。

検査中は口にマウスピースが入らないので、医師と会話しながら受けていただくことができます。

「鼻からの胃カメラは画質が良くないのでは?」と心配される方もいらっしゃいますが、それはひと昔前のイメージです。

当クリニックが導入している富士フイルム製ELUXEO 8000システムは、ハイビジョン画質で詳細観察が可能です。異常がないかを確認する通常の検査であれば、口からの検査と同等の精度でしっかりと観察できます。ただし、より詳細な観察や組織採取(生検)が必要になる場合は、経鼻だけでは対応しきれないこともあります。

経鼻内視鏡を受けるうえで、知っておいていただきたい点が2つあります。

1つ目は、スコープを通す前に鼻腔麻酔(キシロカイン®)を行うため、検査前に約10分の待機が必要になること。 
2つ目は、鼻の粘膜が弱い方の場合、スコープが通る際にティッシュに付く程度の少量の鼻血が出ることがある点です。

また、嘔吐反射は起きにくくても、「意識がはっきりした状態で、鼻からカメラが入ってくること自体が怖い」と感じる方には、次にご紹介する「経口+鎮静剤」の方法をおすすめすることがあります。

経口内視鏡:処置具が通しやすく、精密検査に向いている

経口内視鏡のスコープ径は8.9〜10mmと、経鼻(5〜6mm)より太いため、内部の通り道(鉗子口)が大きく作られています。そのため、検査中に疑わしい組織をつまんで調べる「生検」や、ポリープの切除といった処置がその場でスムーズに行えます。異常が見つかった際にすぐ対応できるのが、経口内視鏡の大きな強みです。

一方で、スコープが舌の付け根に触れるため、嘔吐反射が起きやすくなります。「おえっ」となるのは体の自然な防御反応ですので、口から入れる以上はどうしても避けにくい部分があります。

そこで、嘔吐反射や恐怖心が強い方には、「鎮静剤」を使用して、うとうととリラックスした状態で検査を受ける方法をおすすめしています。

この方法なら、検査中の不快感や恐怖心を大幅に和らげることができます。ただし、薬の影響が残るため、検査当日はご自身での車・バイク・自転車の運転は絶対にできません。 鎮静剤なしでの経口検査も可能ですが、嘔吐反射が強い方の場合は少しご負担が大きくなることがあります。

なお、検査中は会話ができないため、検査結果は終わったあとに医師より詳しくご説明いたします。

経鼻か経口か、自分に合う方法の選び方

どちらの方法にするかは、「嘔吐反射の強さ」「鼻の状態」「精密検査が必要かどうか」、そして「当日の交通手段」などを総合的に見て判断しましょう。

ここでは選び方のポイントをご紹介しますが、「自分の場合はこうだけど、どっちがいいだろう?」と悩む場合は、お気軽にご相談ください。

経鼻が向いている方:嘔吐反射が心配・検査後すぐ帰りたい

以下のような方には、経鼻内視鏡がおすすめです。

  • 過去の胃カメラで「おえっ」となって苦しい思いをした
  • 嘔吐反射が不安で、検査をためらっている
  • 検査後、すぐに仕事や家事に戻りたい
  • どうしても車で通院したい(保育園のお迎えがあるなど)

経鼻は鎮静剤を使わないため、検査後の院内休息は不要です。

そのまま車で帰宅でき、仕事にもすぐ戻れます。「胃カメラは半日かかる」というイメージをお持ちの方には、時間的な負担が少ない方法です。

経口が向いている方:精密検査が必要・初めての受診

以下のいずれかに当てはまる方には、経口内視鏡がおすすめです。

  • 初めて胃カメラを受ける方
  • 生検(組織採取)やポリープ処置が必要になる可能性が高い方
  • 過去の検査で異常が見つかった方・精密検査を勧められた方
  • 鼻中隔湾曲症、慢性鼻炎などがあり、鼻腔が狭いと言われたことがある方

当クリニックでは、初めての方には経口内視鏡をおすすめしています。

初めての検査では胃の状態がまだ詳しくわかっていないため、万が一異常が見つかった場合でも、その場ですぐに組織採取などの詳しい検査に移行できる経口の方が安心だからです。

「初めてで不安」「嘔吐反射があるかどうかも分からない」という方は、鎮静剤を使って苦痛を和らげることができますので、ご予約の際に遠慮なくご相談ください。

なお、30代の方が初めて胃カメラを受ける場合は、胃がんのリスクとなる「ピロリ菌」の有無も合わせて確認することをおすすめしています。詳しくは以下の記事をご覧ください。

あわせて読みたい
胃カメラ、鼻と口どっちが楽?嘔吐反射・車通院などから専門医と考える選び方 | 胃がん
30代のピロリ菌検査は胃カメラで|陰性なら安心、陽性でも除菌で対処できる

「人間ドックの採血でピロリ菌を指摘された」「家族や知人が胃がんになった」。 そういったきっかけで胃カメラの受診が頭をよぎりつつも、「でも、特に症状はないし、まだ大丈夫だろう」と先送りにしていませんか。 結論からお伝えすると、その考えは危険です。ピロリ菌は感染しても自覚症状がほとんどなく、胃カメラ

【専門医コラム】鼻も口も怖いのは、耐えるしかないの?

当クリニックでは、胃カメラを受ける方の4人に1人ほどが経鼻を選んでいます。お車で来院されるため鎮静剤を使えない方や、鎮静剤そのものに不安がある方にとって、経鼻内視鏡は非常に受けやすい検査方法です。

ただ、消化器内視鏡専門医として私が大切にしているのは、「楽さ」だけで安易に決めないこと。

経口内視鏡には拡大機能があり、疑わしい部分をズームしてより精密に観察・処置ができます。一方、経鼻でも健康診断などの通常のスクリーニング検査には十分に対応できます。

患者様にとって一番大切なのは、「苦痛を最小限に抑えること」と「必要な病変を見逃さない精度の高い検査をすること」の両立です。 当日はお車でいらっしゃるのか、お仕事の都合はどうなのか、そして何が一番不安なのか。こうしたご事情や背景をしっかりとお伺いした上で、あなたにとって最適な方法を一緒に決めていきたいと考えています。

「鼻も口も怖い」「情報を見れば見るほど決められない」という方は、どうかそのままの気持ちで当クリニックにいらしてください。

専門医Q&A:胃カメラを受ける前によくある疑問

受診前によくいただくご不安や疑問に、消化器内視鏡専門医の理事長・青木洋一郎が直接お答えします。

Q. 検査当日に、予約した方法(経口・経鼻・鎮静剤)を変えられますか?

基本的には、ご予約時に方法を決めていただいていると当日のご案内がスムーズです。 ですが、当日の体調やお気持ちの変化にもできる限り対応しております。「経鼻」から「経口」への変更は準備の都合上対応しやすいのですが、「経口」から「経鼻」への変更については、経鼻用の専用スコープの準備状況によってはお受けできない場合がございます。

どうしても決めきれない、迷っているという方は、予約の段階で「相談して決めたい」とお伝えください。来院されてから、医師とお話しして決めることも可能です。

Q. 鎮静剤を使うと意識がなくなりますか?

全身麻酔の手術のように、完全に意識や記憶がなくなるわけではありません。 うとうとした「半覚醒」の状態で、声をかけられれば反応できるけれど、「気づいたら検査が終わっていた」と感じる方が多いです。検査後は院内のベッドで30分程度お休みいただければ、普段通りの状態に回復しますのでご安心ください。

Q. 鎮静剤を使った場合、どのくらい時間がかかりますか?

検査そのもの(内視鏡がお腹に入っている時間)は5〜10分程度です。 鎮静剤を使用した場合、検査後に薬が抜けるまで院内で30分程度お休みいただきます。受付や準備を含め、来院からお帰りまで合計1〜1.5時間程度を見ておいていただくと余裕が持てます。 なお、薬の影響で検査当日は車・バイク・自転車の運転ができませんので、ご家族の送迎や公共交通機関でのご来院をお願いいたします。

鎮静剤を使わない場合は、検査後そのままお帰りいただけます。

Q. 経鼻を予約したけど、鼻が通らないことはありますか?

まれに、鼻腔が狭くてスコープが通りにくい方がいらっしゃいます。 当日はスコープを入れる前に鼻の通り具合を確認し、もし「無理に通すと痛みが出たり、鼻血が出やすくなる」と医師が判断した場合は、その場で経口への切り替えをご相談させていただきます。

「以前、鼻が細いと言われた」「ひどい花粉症や慢性鼻炎がある」という方は、事前にご相談ください。特に花粉症の季節は鼻の粘膜が腫れやすいため、経口(鎮静剤使用)をおすすめするケースもございます。

まとめ:迷ったら、一緒に相談しながら決めましょう

「経鼻にするか、経口にするか」「鎮静剤を使うべきか」。

ネットで調べれば調べるほど、ご自身の判断だけで決めるのは難しく、不安になるものだと思います。

この記事のポイント

  • 選び方のポイントは、嘔吐反射の強さ・鼻の状態・精密検査が必要かどうかの3点
  • 車で通院する方は、鎮静剤使用時は運転不可。経鼻なら検査後そのまま帰宅できる
  • 予約前に決めきれなくても大丈夫。来院後に一緒に方法を決められる

青木内科・眼科では、経口・経鼻・鎮静剤のいずれにも対応しています。消化器内視鏡専門医が、あなたの不安や身体の状態、当日のご都合に合わせ、最も負担が少なく、かつ安全で精度の高い検査方法を一緒に選んでいきます。

迷っている方は、どうか予約をためらわずに「決められないのですが」とお気軽にご相談ください。